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まると私と野良猫と。
2010年07月20日 (火) | 編集 |
気まぐれに小説を書いてみました。
たまにはこう言うのも良いでそ?(w
いつもと雰囲気が違いますが良かったら読んで下さい。

ちょっと刺激的な部分もありますが
フィクションなので心配しないで下さい。

ショートショート。

『まると私と野良猫と。』



はじまりはじまり。
目覚めてしまった。

見えるのはいつもの天井。
寝覚めの悪い夢を見たらしいが
良く覚えていない。
体は相変わらず鉛の様に重い。

ここは…自分の部屋…。

居心地の悪さに寝返りを打つと
急に吐き気が襲ってきた。
胸の中に巣食う悪魔を吐き出すかの様に
近くにあった空のごみ箱にひとしきり吐く。
鼻につく胃酸の匂い。
今度は血の気が引いてきた。
ごろりとそのまま横になる。

透明なプラスチックとアルミで出来た
薬の殻が枕元には散乱している。

死ねなかったんだ…。

そう…死ねなかった。
死ぬ方法は小説に載っていた物の真似をした。
強い酒と睡眠薬の組み合わせは
肝臓に多大な負担をかけ、最悪の場合死に至る。
だが彼の望む“最悪の場合”は
彼の望み通りとはいかなかったのである。

悔しさと安堵の気持ちが頭の中で渦を巻き
溢れる涙。

ちくしょう…ちくしょう…。

両の拳で頬を殴るも皮膚感覚はまだ戻っていない。

二度目の吐き気。
今度はおぼつかない足でトイレに駆け込む。
苦い味の液体が寒気と共に食道を駆け上ってくる。
全てを吐き出しても尚、
痙攣する内臓はその動きを止めてくれない。
しばらくトイレから出られなかった。

涙と鼻水と吐しゃ物で
ぐしゃぐしゃになった顔を
洗面台の鏡で見る。

最悪だ…俺って…ちくしょう…ちくしょう…。

また涙。
洗面台の前で嗚咽を漏らせば
益々寂しさと侘しさが心の内を真っ黒に染めた。
29歳…生きる事も死ぬ事も出来ない
宙ぶらりんの霊長類…人科…人間の雄。

死ぬ事も出来なかったのかよ…根性無しが…。
お前は所詮その程度の人間なんだよ…
社会のごみくずが…。

彼を悩ます頭の中の悪魔の声。

そう…死ねなかった…。
僕は駄目な人間です…。
ごめんなさい…父さん…母さん…兄さん…姉さん…。
ごめんなさい…ごめんなさい。

泣く程に表情の崩れる鏡の向こうの醜い生物。
何で…何でこんな事になっちゃったんだろう…。
辛いよ…寂しいよ…。
助けて…まる…。


飼い猫のまるを見送ってしまったのは
寒い冬の日の事だった。
死に目には会えなかった。
その日の晩、まるで家族全員に
その事を知らせるかの様に
低いうめき声を上げ続けていた。

近くに寄り体を撫でようとすると
毛に触れるか触れないかの所で
まるで電気を流したかの様に
びくっと体を硬直させる。

痛いのか…ごめん。

言葉をかけても相変わらず反応は無い
それ所かあけている目の焦点が
全く定まっていない。
もう既に目は見えていないようだった。

寝たきりのまるの姿には慣れていた筈だった。
一日中丸くなり眠っている事が多くなり
その内立てなくなった。
良く眠るようになってからも
トイレには自分で立って行けていた。
だが死の数日前に
目の前でころりと倒れてからは
起き上がれなくなり
そのままの形で旅立ってしまった。
もう二度と起き上がれない事が判った瞬間
涙がぼろぼろとこぼれた。
尿で濡れた体を拭いてやる事すら出来ず
ぼろ雑巾の様になって行く彼女を
ただ見ている事しか出来なかった。
最低の飼い主だ…。
そんな事を思った。

医者には連れて行かなかった。
歩けなくなり、立てなくなった時点で
母が獣医に電話をかけ
あれこれと聞いたらしく
もう既に手遅れであると言ったきり
その話は立ち消えになってしまった。
だが悪いのは母ばかりではない。
私自身もその話で納得してしまう程
まるの容態は日を追って悪くなる一方であった。
このまま無理やり車に乗せ
遠くの獣医の下まで運ぶのは
可哀想な気すらしてしまっていた。
そして考えている間も無く
まるは旅立ってしまった。

口元に10円玉程の大きさの
濁った血溜まりがあった。
苦しかったのであろう。
体を触るとまだほんのり温かかった。

良く頑張ったなぁ…ごめんなぁ…。

それ以上にかけられる言葉は無かった。


洗面所で口をゆすぎ、顔を洗う。
死ねなかった死にたがりの私にも
平等にやってくる今日と言う日が
何だか少し恨めしかった。
口角を歪めて一人不気味に笑う。

家族に平然とおはようを言う。
流石に死ぬ事に失敗した事を
話すのは恥ずかしかった。

いつでも茫漠として、平凡な家族。
ただ、心は何処か離れている。
水の中を漂う泡の様に
一人一人が個々で完成した配役を演じきっている。
そしてそこに生まれた私もまた
完成した人間で居なくてはならない。
多分そう言う辛さなのだと思う。

処方薬を飲み少し落ち着いた心。
相変わらず皮膚感覚はぼやぼやしていた。

ふいに窓の外に何か黒いものが横切った。
驚き二日酔いのぼやけた目を必死に凝らす。

子猫だった。

手の平に乗る程の小さな子猫がサッシの枠に乗り
そろりそろりと歩いていたのである。
あまりにも間抜けなその姿に
思わず噴出してしまう。
そっと近づいてもまだ気づかない。
どうやら窓の外からは私の姿が見えていないらしい。
窓をそっと開ける音で
ようやく私の存在に気がつき
勢い良く飛びのいた。

大丈夫…何もしないよ…写真を撮るだけ…。

子猫の目を見つめ
ゆっくり4~5回瞬きをする。
猫と仲良くなるおまじないである。
相手が同じ様に瞬きを始めたら
こちらへの警戒心を解いてくれたと言う事なのだ。

良く見れば親猫と一緒に
ちょうど玄関に向かおうとしている所だった。

最近庭に野良猫が住み着いていると言う話を
父から聞いたのはごく最近の事だった。
母猫は庭木の間で子供を生み
そこを住処にあちこち餌を捜し歩いている様だった。
玄関は日当たりが良く
彼らにとっては日向ぼっこに丁度良いらしい。
そこへ向かう途中に私に見つかったと言う訳である。

手足を縮め、丸くなる子猫。
置物の様でとても可愛かった。
母猫はしゃーしゃーと鳴きながら
こちらの様子を伺っている。
写真を何枚か撮り
母と姉を呼ぶ。
母猫と子猫は何か食べ物を貰えると勘違いしたらしく
その場に腰を据えてしまった。

三人で猫を眺め
互いにちっちゃいね…可愛いね…等と言い合う。
撫でる事こそ出来なかったが
彼らが居る事で何だか温かい気分になった。
どうやら可愛いものと言うのは
人の心を強く結び付けるらしい。

水の中を漂う泡は
何かの拍子にぱちんと弾け一つになる。

胸の奥で何かがぱちんと弾ける音がした。
もしかして、まる…君が彼らを呼んでくれたの?
初夏の青空は何処までも
青く透き通っていた。

生きているのも、なかなかどうして悪くない。



※この物語は所々フィクションです。
コメント
この記事へのコメント
小説
これって実体験も混じっているような気もするのですが・・。なぜなら、あまりにリアルだから・・。それとも純粋なフィクション?
2010/07/21(Wed) 04:25 | URL  | なりひら #SIg7oyDA[ 編集]
コメ返し♪
なりひらさん:
実は所々実体験が混じってます(汗
未遂の描写はお酒飲み過ぎた時に飲んじゃった睡眠薬の
体験が元で描いてたりするのです。
死ぬつもりが無くても飲み合わせで
危険な状態になる事ってあるんだなぁ~って(汗
でも猫は飼ってなかったので書くのが大変でした(汗
2010/07/21(Wed) 23:30 | URL  | 時雨空 #x12mMIeU[ 編集]
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